対数はどんなところに使われているだろうか?

  1. 水素イオン濃度とpH
    溶液中の酸性の度合いを表わすものに,「pH(ペーハー)」というものがあります。酸性の度合いとは,溶液中に水素イオンH+がどれだけあるか,ということを意味しています。水素イオンの濃度をいま[H+]で表わすと,pHは
       pH=-log[H+]
    で与えられます。
    例1. Hcl → H+ + cl-  (ほぼ完全に電離)
      0.1mol/l 0.1mol/l
       pH=-log[H+]=-log100.1=1   (強酸性)
    例2. H20 → H+ + OH-   (電離しにくい)
            10-7mol/l
       pH=-log[H+]=-log1010-7=7   (中性)

  2. マグニチュードと振幅
    地震の大きさを示す「マグニチュード」という言葉はよく聞きますね。このマグニチュードMは,震源から100km離れたところの地震計の振幅をaとすると
       M=log10a  (単位 ミクロン)
    で表わされます。

    例1.a=1mm (=103ミクロン)
       M=log10103=3
    例2.震源から100km離れたところで,M7の地震はM6より何倍大きくゆれるであろうか。
      7=log1010a   ∴a=107
      6=log1010a’  ∴a’=106
       a/a’=107/106=10(倍)

  3. マグニチュードとエネルギー
    マグニチュードはまた。地震によって放出されるエネルギー量を対数的に表わしたものです。
    マグニチュードをM,エネルギー量をEとすると
      log10E=11.8+1.5M (単位 エルグ)
         ・・・グーテンベルグ・リヒターの式
    という関係が成り立ちます。
    例1.日本海中部地震(昭和58年5月) M=7.7
      log10E=11.8+1.5×7.7=23.35
       E=1023.35=100.35×1023=2.24×1023 (エルグ)
    例2.宮城県沖地震(昭和53年6月) M=7.3
      log10E=11.8+1.5×7.3=22.75
       E=1022.75=100.75×1022=5.62×1022 (エルグ)

  4. 情報量
    確率Pで起こる事柄が現に起こったことを知ったときの「情報量」Iは
      I=log21/P  (単位 ビット)
    で与えられます。
    例1.サイコロを投げて「1の目」が出たことを知ったときの情報量は,P=1/6として
      I=log21/(1/6)=log26≒2.56  (単位 ビット)
    例2.「1か2のいずれかの目」が出たことを知ったときの情報量は,P=1/2として
      I=log21/(1/2)=log22≒1  (単位 ビット)
    即ち,確率が小さい(あまり起こりえない)事柄を知ったときのほうが,情報量が大きい,といえますね。

  5. 統計的推測
    今年のあるA町の人口は1.6万人。毎年2%ずつ人口が増加するとしたら,何年後に人口2万人を超えるでしょうか。

    x年後の人口は1.6×1.02となるので
      1.6×1.02>2  ∴1.02>2/1.6=1.25
    両辺の対数をとると,
       xlog101.02>log101.25
     log101.25=log10125/100=3log105-2=3×0.699-2=0.097
     log101.02=log10102/100=log10102-2
        =log102+log103+log1017-2=0.0085
       x>0.097/0.0085≒11.4
    即ち,2%ずつ増加しても2万人に達するのは12年かかる,ということです。

  6. 放射性物質と半減期
    放射性物質は放っておくとどんどん分解して少なくなってしまいます。(別な物質になってしまう)
    分解する割合はほぼ一定です。最初にあった量が半分に減ってしまうのに要する時間のことを「半減期」といいます。
    例1.
    238U4.5×109(年) 235U7.1×108(年)
    226Ra1.6×103(年) 14C5.6×103(年)
    60Co5.3(年) 32P14(日)

    例2.ある物質Aが1日約4%ずつ分解していくとしたら半減期はいくらになるでしょうか。

      0.96A=A/2   ∴0.96=1/2
      Xlog100.96=-log102
        log100.96=log1096-2=-0.0170
      ∴ x=0.302/0.0179≒16.9 (日)