表計算ソフトで計算する行列の乗法

 高校で習う行列は2×2行列がほとんどです.3×3行列も足し算の計算などでたまに出てきますが,掛け算などはまれですよね.それはひとえに計算が大変だからです.行列の性質を知るには高次の行列を扱うことも大事なのですが,その計算量から無理があります.そこで表計算ソフトを用いることで,その部分をコンピュータにやらせて見ましょう.
 マイクロソフト社のEXCELには行列の計算用に色々な関数が用意されています.その中の一つ,行列の積を計算する「MMULT」という関数を用いてみましょう.例として次の3×3行列の積を求めます.

 答えを表示する3×3行列の場所を上の図のようにドラッグし,ツールバーの をクリックします.ポップアップ画面から「数学/三角」→「MMULT」と選択します.2つの行列を聞いてきますので,それぞれ指定したあと,CTRL+Shift+リターン で行列の積を返します.

 これを用いていくつか行列の積をいくつか計算してみましょう.

かけても変わらない行列
(単位行列)
各行の和を第1列に
第1列を全列に
行の数字が反対になる
第2,3列入れ替え
第1列3倍

 かける行列を変えることで,いろいろな作用を施すことがわかりますね.また,次の様に行列の演算独特の性質も調べることができます.

1.AB≠BA
 一般の演算ではAB=BAが成り立ちますが,行列ではそうはいきません.

 しかし,AB=BAとなる場合もあります.

2.AB=0 ⇒ A=0またはB=0,とは限らない

 一般の演算ではAB=0ならばA=0かB=0ですが,行列ではそうとは限りません.

 次に名前のついた特殊な行列についても,調べてみましょう.

A.上(下)三角行列

 左下(右上)の成分が0の行列を上(下)三角行列といいます.上(下)三角行列どうしの積は,やはり上(下)三角行列になります.

B.対角行列

 対角線上以外の成分が0の行列を対角行列といいます.対角行列どうしの積は,やはり対角行列になります.

C.転置行列

 行と列を入れたえてできる行列を転置行列といいます.元の行列と転置行列の積は,対角線に対して対称な行列となります.これを対称行列といます.

《参考資料》